
エンジニアが英語を話せないのはなぜ?読めるのに口が動かない3つの原因と今日からの対処法

こんなことで悩んでいませんか?
- 英語のドキュメントは読めるのに、会議では一言も出ない
- 海外メンバーとのミーティングで、相づちしか打てない
- コードレビューのコメントは書けるが、口頭で説明できない
- 英語が話せないせいで、キャリアの選択肢が狭い気がする
- オンライン英会話を始めたが、仕事の英語につながらない
エンジニアなのに英語が話せないと、技術力まで低く見られそうで焦りますよね。でも実は、エンジニア特有の「話せない理由」を押さえると、遠回りせずに抜け出せます。
私自身、30歳まで英語がまったく話せず、ITベンダーとの打ち合わせで海外の技術者に何も返せなかった経験があります。その後オンライン英会話でやり直し、10社以上を試した中で分かったことをまとめました。
この記事を読むと分かること
- エンジニアが英語を話せない本当の原因3つ
- 技術力を活かして話せるようになる対処法3つ
- スタンドアップやレビューで使える場面別フレーズ
- 英語が話せないエンジニアがハマりがちな遠回り
- エンジニアに合うオンライン英会話の使い方
エンジニアが英語を話せない3つの原因


エンジニアが英語を話せないのは、英語の才能がないからではありません。読む英語には毎日触れているのに、話す英語だけが育たない構造があるんです。
原因は大きく次の3つに分けられます。
- 原因1:読む英語と話す英語は、処理のスピードがまったく違う
- 原因2:技術用語はあるのに「説明をつなぐ英語」が空白
- 原因3:正確さを重んじる職業意識が、口を止めてしまう
どれも努力不足ではなく、練習の「種類」がずれているだけです。順番に見ていきます。
原因1:読む英語と話す英語は、処理のスピードがまったく違う
エンジニアは公式ドキュメントやエラーメッセージ、Stack Overflowで毎日のように英語を読んでいます。だから「英語はそこそこできる」という自己評価になりやすいのですが、読むときは自分のペースで何度でも読み返せます。
一方で会話は、相手の発言から1〜2秒以内に返さないと流れが止まります。読解は時間無制限の非同期処理、会話はタイムアウト付きの同期処理と考えると、同じ英語でも別のスキルだと分かりやすいはずです。
読める量をいくら増やしても、この即答のスピードは鍛えられません。話せない原因の大半は、ここにあります。



私もマニュアルは辞書なしで読めたのに、会議で「Any questions?」と振られた瞬間に固まりました。読めることと返せることは、まったく別物でした。
原因2:技術用語はあるのに「説明をつなぐ英語」が空白
deploy、rollback、latency、dependencyといった技術用語は、エンジニアならほとんど知っています。実はエンジニアの語彙で足りていないのは、専門用語ではありません。
足りないのは「まず前提を共有させてください」「原因は2つ考えられます」「ここは後で確認して返します」のような、説明を組み立てるための接続の英語です。単語は並べられても、文と文をつなぐ型を持っていないので、話がぶつ切りになってしまいます。
原因3:正確さを重んじる職業意識が、口を止めてしまう
コードは1文字間違えるだけで動きません。この感覚が身についているエンジニアほど、英語でも「文法が合っているか確認してから話そう」とブレーキがかかります。
ところが会話では、完璧な文を組み立てているうちに話題が次へ進みます。英語の会議で求められているのは、コンパイルが通る英文ではなく、意図が伝わる英語です。
出典・根拠:カナルとスウェイン(Michael Canale & Merrill Swain, 1980)のコミュニケーション能力モデル。文法能力とは別に、言い換えや聞き返しで会話の途切れを補う「方略的能力(strategic competence)」があるとした。
このモデルでいえば、エンジニアが弱いのは文法能力ではなく方略的能力のほうです。言葉に詰まったときに「言い換える」「確認し直す」手段を持っていれば、多少の文法ミスがあっても会話は続きます。
英語を話せないエンジニアが今日からできる対処法


原因が分かれば、対処法もエンジニアらしく「仕組み化」できます。大量の勉強時間を確保しなくても、業務と地続きの練習に変えるだけで話せる実感は変わります。
ここでは効果の大きい順に3つ紹介します。
- 対処法1:自分の業務を説明する定型文を30本つくる
- 対処法2:技術の中身は画面に任せ、英語は接続部分に絞る
- 対処法3:言えなかった一言をissueのように記録して潰す
対処法1:自分の業務を説明する定型文を30本つくる
エンジニアの英会話は、使う場面がかなり限られています。デイリースタンドアップ、進捗報告、コードレビュー、障害報告、1on1の5場面で、発言の8割はカバーできるはずです。
そこで、この5場面ごとに自分が実際に言いそうな文を6本ずつ、計30本書き出します。汎用の英会話フレーズ集より、自分の業務から作った30本のほうが圧倒的に使えるというのが、私が遠回りして得た結論です。
作った30本は、1日5本ずつ声に出して読みます。6日で一巡するので、週に1回以上はすべての文を口に出せる計算になります。
対処法2:技術の中身は画面に任せ、英語は接続部分に絞る
エンジニアの強みは、言葉以外の説明手段を持っていることです。構成図、コード、ログ、チケットを画面共有すれば、技術的な中身の9割は英語を使わずに伝わります。
英語で話すのは「Let me share my screen.」「As you can see here,」「The problem is this part.」のような、画面を指し示すつなぎの部分だけで十分です。話す量を減らす設計にすると、緊張も一気に下がります。



画面共有をするようになってから、英語の会議がぐっと楽になりました。全部を英語で言おうとしなくていいと分かったのが大きかったです。
対処法3:言えなかった一言をissueのように記録して潰す
会議やチャットで「これ、英語でなんて言えばよかったんだろう」と感じた一言は、その場でメモしておきます。エンジニアならissueやTODOのように、1件ずつチケット化するイメージが合うはずです。
その日のうちに英語の言い方を調べ、対処法1の定型文リストに追加すれば、1件クローズです。1日1件でも、3か月で約90件の「言えなかった」が「言える」に変わります。
エンジニアの英語が話せない場面別に使えるフレーズ


対処法1の定型文づくりの土台として、エンジニアの業務で出番の多いフレーズを場面別にまとめました。そのまま使うより、自分のプロジェクト名や機能名に置き換えて使ってください。
特にスタンドアップと障害報告は型がはっきりしているので、最初に固めると効果が出やすい場面です。
スタンドアップ・進捗報告で使う英語
デイリースタンドアップは「昨日やったこと・今日やること・困っていること」の3点でほぼ固定です。型が決まっているので、英語が話せないエンジニアが最初に慣れる場面として最適です。
| 場面 | 英語フレーズ | 意味 |
|---|---|---|
| 昨日の作業 | Yesterday, I worked on the login API. | 昨日はログインAPIを進めました |
| 今日の予定 | Today, I’m going to fix the bug in the payment flow. | 今日は決済フローのバグを直します |
| ブロッカー | I’m blocked by the staging environment issue. | ステージング環境の問題で止まっています |
| 進捗 | It’s about 70 percent done. | 7割ほど終わっています |
| 見通し | I think I can finish it by Thursday. | 木曜までに終わる見込みです |
コードレビュー・設計の議論で使う英語
レビューや設計の場では、相手の意見を否定せずに別案を出す言い回しが役立ちます。日本語でも気を遣う場面なので、クッションになる型をいくつか持っておくと安心です。
| 場面 | 英語フレーズ | 意味 |
|---|---|---|
| 意図を聞く | Could you explain why you chose this approach? | この方法を選んだ理由を教えてもらえますか |
| 別案を出す | What if we move this logic to the service layer? | このロジックをサービス層に移すのはどうでしょう |
| 懸念を伝える | I’m a bit worried about the performance here. | ここのパフォーマンスが少し気になります |
| 同意する | That makes sense. Let’s go with that. | 納得です。それでいきましょう |
聞き取れない・言葉に詰まったときの英語
話せないエンジニアにとって一番心強いのは、詰まったときの逃げ道です。前述の方略的能力にあたる表現で、これがあるだけで沈黙の恐怖はかなり薄れます。
| 場面 | 英語フレーズ | 意味 |
|---|---|---|
| 聞き返す | Sorry, could you say that again more slowly? | もう一度ゆっくり言ってもらえますか |
| 確認する | Just to confirm, you mean the cache is the cause? | 確認ですが、原因はキャッシュということですか |
| 時間をもらう | Let me think for a second. | 少し考えさせてください |
| 持ち帰る | Let me check and get back to you. | 確認して折り返します |
| 文字で補う | I’ll write it in the chat. | チャットに書きますね |
英語が話せないエンジニアがハマりがちな遠回り


エンジニアは勉強熱心な人が多い分、話す力につながりにくい方法に時間を注いでしまうことがあります。ここでは私自身や周りのエンジニアがハマった遠回りを3つ紹介します。
どれも無駄ではありませんが、「話せない」を解決したいなら優先順位を下げたほうがいいものです。
遠回り1:TOEICの点数だけを追いかける
TOEICのスコアは転職や昇格の書類では役に立ちますが、スピーキングの力はほとんど測られません。リスニングとリーディングの点数が上がっても、口から英語が出る速さは変わらないんです。
点数が必要な事情があるなら並行して進めつつ、話す練習の時間は別枠で確保するのが現実的です。
遠回り2:技術書や海外記事の多読だけで済ませる
英語の技術記事を大量に読むのは、エンジニアにとって自然で楽しい学習です。語彙は確実に増えますが、原因1で書いたとおり、読む処理は話す処理を鍛えません。
多読を続けるなら、読んだ記事の要点を英語で3文だけ声に出して要約するところまでやると、インプットがアウトプットにつながります。
遠回り3:ネイティブ並みの発音を目指してしまう
正確さを求めるエンジニアほど、発音を完璧にしてから話そうと考えがちです。しかし海外のエンジニアチームは、インド、東欧、東南アジアなど英語が母語でないメンバーが混ざっているのが普通です。
出典・根拠:ジェニファー・ジェンキンズ(Jennifer Jenkins)『The Phonology of English as an International Language』(2000)。非ネイティブ同士の英語コミュニケーションで理解を妨げる発音要素を分析し、通じるために優先すべき最小限の発音特徴「リンガ・フランカ・コア」を提唱した。
つまり、国際的な開発チームで必要なのはネイティブの発音ではなく、通じる発音です。細部の発音矯正より、まず口に出す回数を増やすほうが話せる実感は早く得られます。
英語の会議で発言そのものができない悩みは、こちらの記事でさらに詳しく扱っています。
英語の会議で発言できない社会人へ|黙ってしまう3つの原因と割り込める5つの対処法
英語を話せないエンジニアにオンライン英会話は向いている?


独学の定型文づくりだけでは、「相手の反応に即答する」練習がどうしても不足します。そこで役立つのがオンライン英会話ですが、エンジニアの働き方によって向き不向きがはっきり分かれます。
始める前に、自分がどちらに当てはまるかを確認してみてください。
オンライン英会話が向いているエンジニア
向いているのは、定型文を「実際に人に向けて言う場」が欲しい人です。対処法1で作った30本を講師相手に話し、反応に返す練習を重ねると、会議での即答スピードが目に見えて上がります。
リリース前やオンコールで予定が読めないエンジニアなら、予約なしで空いた時間にすぐ受けられるネイティブキャンプ公式サイトのようなサービスが合います。作業の合間の25分を、そのまま英語を話す時間に変えられます。
業務で使う英語を教材に沿って体系的に積み上げたい人には、教材の種類が豊富なDMM英会話公式サイトも候補になります。ビジネス場面の教材を使えば、会議や報告の型を講師と一緒に固められます。
オンライン英会話が向いていないエンジニア
反対に、フリートークを毎回その場の雑談で終わらせてしまう人は、成果を感じにくいかもしれません。雑談の英語と、仕事で技術を説明する英語は必要な表現がかなり違うからです。
この場合は、レッスン冒頭で「今日はスタンドアップの報告を練習したい」と講師に伝えるだけで改善できます。何を練習するかを自分で決めてから受けることが、エンジニアがオンライン英会話を仕事に活かす一番のコツです。



私も最初の1か月は雑談だけで終わり、「意味あるのかな」と迷いました。練習したい場面を自分から伝えるようにして、ようやく仕事につながり始めました。
エンジニアにおすすめの使い方3ステップ
オンライン英会話を仕事の英語につなげるには、受け方を少しだけ工夫します。私がたどり着いた流れは次の3ステップです。
- 定型文30本から、その日に使う5本を選ぶ
- レッスンで講師に場面を伝え、5本を使ってロールプレイする
- 言えなかった一言を記録し、定型文リストに追加する
この流れなら準備は5分、レッスンは25分で完結します。週3回を3か月続ければ約36回となり、30本の定型文をそれぞれ何度も人に向けて口に出せる計算です。
エンジニアの英語に関するよくある質問


最後に、英語が話せないエンジニアの方からよく聞かれる質問を3つ取り上げます。同じところで迷っている方は、ここだけ先に読んでも大丈夫です。
Q1:エンジニアは英語が読めれば十分ではないですか?
国内の開発だけに携わるなら、読む力だけで困らない場面は多いです。ただし、海外製品のサポートとのやり取りや、外国籍メンバーがいるチームでは、話せるかどうかで任される仕事の幅が変わります。
読めるのに話せない状態そのものについては、こちらの記事でも原因を掘り下げています。
英語は読めるけど話せない社会人へ|口から出ない3つの原因と話せるようになる5ステップ
Q2:AI翻訳がある時代に、エンジニアが英語を話す必要はありますか?
チャットやドキュメントは、AI翻訳でかなりカバーできるようになりました。一方で、会議中の即答や雑談から生まれる信頼関係は、まだ自分の言葉に頼る場面が多いです。
翻訳を使う前提でも、「確認させてください」「後で返します」といった短い英語を話せるだけで、会議での存在感は大きく変わります。
Q3:英語が話せないエンジニアは何から始めればいいですか?
まずは次のスタンドアップで話す内容を、英語で3文書いて声に出すところから始めてください。昨日やったこと、今日やること、困っていることの3文です。
それが言えるようになったら、対処法1の30本へ広げていきます。小さく作って、動かして、改善するのはエンジニアの得意分野のはずです。
まとめ:エンジニアが英語を話せないのは、練習の種類がずれているだけ
エンジニアが英語を話せないのは、能力の問題ではありません。読む英語と話す英語の処理が違うこと、説明をつなぐ英語が空白なこと、正確さを求めて口が止まることの3つが重なっているだけです。
- 業務の5場面で、自分用の定型文を30本つくる
- 技術の中身は画面共有に任せ、英語は接続部分に絞る
- 言えなかった一言を記録して、1日1件ずつ潰す
- ネイティブ並みの発音より、通じる発音で回数を増やす
- オンライン英会話では練習したい場面を自分から伝える
人に向けて話す練習の場を確保したい人は、予約不要で受けられるネイティブキャンプか、教材で型を固められるDMM英会話から試してみてください。
まずは明日のスタンドアップで話す3文を英語で書くところからで十分です。エンジニアの英語は、業務の定型文から少しずつ話せるようになっていきます。
佐藤みなと(英会話コンパス編集長)
30歳まで英語がまったく話せなかった元・国内営業。社会人になってからオンライン英会話でやり直し、これまで10社以上を無料体験しました。
忙しい社会人がつまずく地点と、そこから抜ける手順を記事にしています。
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